「あの人は、そういう人だから」で終わらせない。〜人は関係の中で違う顔を見せる人たち〜

「あの人は、そういう人だから。」

会社でよく耳にする言葉です。

「彼は消極的だから。」
「彼女は頑固だから。」
「あの人はコミュニケーションが苦手だから。」
「どうせ言っても変わらないよ。」

一度そういう評価がつくと、その人は「そういう人」として扱われ続けます。

でも、本当にそうでしょうか。

同じ人なのに、違う人のように見える

ある部署ではほとんど発言しなかった人が、異動した途端に積極的に意見を言うようになった。

普段は無口な人が、新入社員の前では驚くほど優しく話しかけている。

家ではよくしゃべる人が、会社ではほとんど口を開かない。

逆に、会社では頼れるリーダーが、地域の集まりでは控えめになることもあります。

もし「性格」がすべてなら、こんなことは起きないはずです。

「あの人は、そういう人」が思考を止めてしまう

私たちは、人を「性格」で説明しようとします。

「あの人は、そういう人。」

そう考えると、話は簡単です。

しかし、その一言で思考は止まってしまいます。

本当に見なければならないのは、

「その人」ではなく、「その人と周りとの関係」

なのかもしれません。

人は、関係の中で変わっていく

最近、「中動態(ちゅうどうたい)」という哲学の考え方に興味を持っています。

難しい言葉ですが、とても簡単に言えば、

人は、一人で行動しているわけではない。

周りとの関係の中で、少しずつ影響を受けながら行動している、という見方です。

だから、

「あの人が変わった。」

と思っていても、

実際には、

周りとの関係が変わったことで、その人の別の一面が現れた。

ということが少なくありません。

変えるべきは「人」ではなく「場」なのかもしれない

会社でも同じです。

安心して失敗できるチームでは、挑戦する人が増えます。

雑談が自然にある職場では、相談もしやすくなります。

上司が最後まで話を聞いてくれるだけで、それまで黙っていた人が発言し始めることもあります。

変わったのは「人」でしょうか。

それとも、「場」でしょうか。

社内報は、人ではなく「関係」を育てる

社内報を10年以上つくってきて思うことがあります。

社内報には、人を変える力はありません。

しかし、

人と人との関係を少し変える力はあります。

普段話したことのない人の仕事を知る。

「あの人も同じことで悩んでいたんだ」と知る。

誰かの挑戦や失敗を知る。

そうした小さな出来事が、人を見る目を少しだけ変えていきます。

そして、その変化が、人と人との関係を少しずつ変えていくのです。

「人を見る」から「関係を見る」へ

「あの人は、そういう人だから。」

その言葉は、相手を理解したようでいて、実は可能性を閉じてしまう言葉なのかもしれません。

人は、一つの性格でできているわけではありません。

人は、関係の中で違う顔を見せます。

だからこそ、組織づくりで本当に大切なのは、

人を変えようとすることではなく、人と人との関係を見つめ直すこと。

そこから、新しい組織の姿が少しずつ生まれていくのではないでしょうか。

「あの人は、そういう人だから。」

その一言で終わらせるのではなく、

「この関係では、なぜそうなっているのだろう。」

そんな問いを持つことから、組織を見る景色は少しずつ変わっていくのかもしれません。

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