組織の空気は、誰がつくっているのか。〜「なんとなく」の正体を考える〜

「玄関を入ったら、その会社の雰囲気は何となく分かりますよ。」

外部の営業担当者から、そんな話を聞くことがあります。

受付の挨拶。

社員同士がすれ違うときの表情。

電話の応対。

廊下に流れる空気。

一つひとつを説明することはできません。

でも、「この会社は話しかけやすそうだな」「少し緊張感があるな」と、その会社だけが持つ独特の雰囲気を感じるそうです。

毎日いろいろな会社を訪れる営業担当者だからこそ、その違いに敏感なのかもしれません。

しかし、不思議なのは、その会社で毎日働いている人ほど、その空気に気づいていないことです。

日本人は「空気を読む」文化を持っている

日本には、「空気を読む」という言葉があります。

相手の気持ちを察し、その場の調和を乱さないように振る舞う。

これは、日本社会の大切な文化の一つです。

一方で、その積み重ねが、組織独特の「なんとなく」を生み出すこともあります。

誰も決めていない。

誰も命令していない。

それでも、

「ここでは、あまり反対意見は言わない方がいい。」

「新人は、まだ様子を見た方がいい。」

「部長より先には帰りにくい。」

そんな空気が、いつの間にか共有されていきます。

一番気づかないのは、その会社の人

毎日その環境で働いていると、それは「当たり前」になります。

だから、空気は見えなくなります。

ところが、外から来た人には、その違いがよく見えます。

営業担当者が会社ごとの雰囲気を感じ取れるのも、そのためでしょう。

空気は見えないのではありません。

慣れてしまうことで、見えなくなるのです。

「なんとなく」は、私たちを動かしている

「今日は反対するのはやめておこう。」

「もう少し残業しておこう。」

「今は話しかけない方がいいかな。」

誰かに言われたわけではありません。

ルールがあるわけでもありません。

それでも、私たちは「なんとなく」そう判断します。

つまり、私たちは空気を読んでいるようでいて、実は空気に動かされてもいるのです。

空気は、誰がつくっているのか

では、その空気は誰がつくっているのでしょう。

社長でしょうか。

管理職でしょうか。

もちろん、その影響はあります。

しかし、本当はもっと複雑です。

朝の挨拶。

雑談。

会議での頷き。

誰かを気遣う一言。

反対意見を受け止める姿勢。

そんな一人ひとりの小さな行動が積み重なり、「この会社らしい空気」が生まれていきます。

そして、その空気が、今度は私たち一人ひとりの行動に影響を与えていくのです。

私たちは、空気をつくり、空気につくられている

組織の空気は、誰か一人がつくっているものではありません。

一人ひとりの何気ない言動が積み重なり、人と人との関係の中で育まれていくものです。

そして、その空気は再び、私たちの言葉や行動を少しずつ変えていきます。

つまり、

組織の空気は、私たちがつくっている。

しかし同時に、私たちは、その空気によってつくられてもいる。

だからこそ、組織を変えようと思ったとき、見るべきなのは「誰が良いか」「誰が悪いか」ではありません。

人と人との間に、どんな空気が流れているのか。

その「なんとなく」の正体に目を向けることから、組織は少しずつ変わり始めるのではないでしょうか。

そして、私は社内報にも、そんな役割があると考えています。

社内報は、会社の出来事を伝えるだけのものではありません。

普段は話す機会のない人の想いを知ること。

他部署の仕事を理解すること。

誰かの挑戦や失敗に共感すること。

そうした小さな積み重ねが、「この人のことを、少し分かった気がする」という感覚を生み、人と人との距離を少しだけ縮めていきます。

その積み重ねは、やがて組織の「なんとなく」を変えていく。

だから私は、社内報とは情報を伝えるメディアではなく、人と人との間に流れる空気をデザインするメディアなのだと思っています。

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