トップの朝令暮改をどう補うか？社内報の可能性を探る

　日々変化するビジネス環境では、トップの指示や方針が頻繁に変わること、いわゆる「朝令暮改」が避けられない場面が増えています。トップがスピーディに判断を下すことは組織に柔軟性をもたらしますが、その一方で現場では混乱が生じることも少なくありません。
　本記事では、「トップの朝令暮改」による課題をどのように補い、社内報がどのような役割を果たせるのかについて考えてみます。

朝令暮改がもたらす現場の混乱

　「朝令暮改」とは、朝に出された命令が夕方には変わっている、つまり方針が頻繁に変わることを指します。この状況では、現場の社員が指示に従って動こうとした矢先に新たな指示が出され、何を優先すべきかわからなくなることがあります。たとえば、次のような声が聞こえてくるかもしれません。

「昨日までの指示と全く違う内容を求められた」
「優先順位が見えず、現場で混乱している」
「変更の背景がわからず、不安が募る」

　このような状況では、社員のモチベーションが下がるだけでなく、組織全体の生産性が低下するリスクもあります。

変化を受け入れる柔軟性と伝え方の課題

　現代はVUCA（不確実、不安定、複雑、曖昧）な時代と言われ、環境の変化に迅速に対応する能力が求められます。トップが柔軟に意思決定を変えることは、組織の変化対応力を高める行動とも言えます。しかし、問題はその「伝え方」にあります。

　方針が頻繁に変更される理由や背景が現場に十分に伝わらなければ、社員はその変化の意図を理解できません。ただ振り回されているように感じ、組織に対する不信感が募る結果になることもあります。

社内報ができること：混乱を整理し信頼を築く

　「朝令暮改」を補うために、社内報を活用することで次のような効果を期待できます。

1. 背景と意図を明確に伝える

　頻繁な変更がある場合、その背景や理由を丁寧に説明することが重要です。社内報を通じて「なぜ方針が変わるのか」「その変化によって何を目指しているのか」を社員に伝えることで、納得感を生み出すことができます。

2. トップの声を直接届ける

　社内報にトップのメッセージを掲載し、方針変更の意図や組織が目指す方向性を語ってもらうことは、社員との信頼構築に効果的です。トップが自らの考えを社員に直接伝えることで、距離感が縮まり、変化に対する理解も深まります。

3. 変更点を整理して共有する

　朝令暮改による混乱を防ぐため、変更内容を視覚的に整理した記事を社内報に掲載することも有効です。たとえば、変更点をリスト形式でまとめたり、優先事項を明確に示したりすることで、現場での対応がスムーズになります。

4. 現場の声をフィードバックする

　社内報は、トップダウンだけでなく、現場からの声を吸い上げる役割も果たせます。社員が感じた課題や疑問を取り上げ、トップに届けることで、双方向のコミュニケーションが進み、現場とトップの信頼関係が強化されます。

実践例：変化を味方につけた組織の事例

　ある企業では、トップの頻繁な方針変更が現場の混乱を招いていましたが、社内報を活用することでそれを乗り越えました。この企業では、方針変更があるたびにその背景や狙いを特集記事として詳しく解説。また、トップが定期的にメッセージを発信することで、社員が変化を受け入れる土壌を育んだのです。その結果、現場が迅速に対応できるようになり、変化への適応力が向上しました。