社内報における人物撮影のコツ パート2:より深みのある表現を追求する

 前回の記事では、社内報における基本的な人物撮影のコツを紹介しました。今回は、さらに一歩進んだテクニックと、撮影のバリエーションを広げるためのポイントを紹介します。社内報の制作では、単なる人物写真を超えて、個々の魅力や情感を引き出すことが重要です。より深い表現を求めるためには、前回紹介した「話しかけながら撮る」「背景を考える」などの基本的なテクニックに加え、構図や光の扱い、被写体との関係性を一段高める視点が求められます。今回の記事では、そのようなさらなる撮影の工夫をご紹介します。

1. 光を味方につける:自然光を意識した撮影と蛍光灯への対策

 社内報の撮影では、事務所や社屋内での撮影が多く、そこで使われている蛍光灯の影響を無視できません。蛍光灯は、自然光に比べて色温度が低く、写真に青白い色合いを与えることがあります。これによって、人物の肌色が不自然に映るなどの問題が発生することも。自然光を最大限に活用できない状況では、蛍光灯の光をどう処理するかが重要なポイントです。

蛍光灯の影響を抑えるコツ

  • ホワイトバランスの調整:カメラのホワイトバランスの調整や、「蛍光灯」モードに設定することで、青白い光を補正し、より自然な色味を実現できます。蛍光灯下での撮影では、カメラの設定で色温度を調整し、色合いを温かくしたり、クールにしたりすることができます。自動モードで撮るよりも、手動で調整する方が肌色などの再現性が向上します。
  • 補助光を使う:蛍光灯の色が強く出過ぎる場合は、補助光としてポータブルLEDライトや撮影用ライトを使い、光のバランスを整えると効果的です。特に、暖色系のライトを使用することで、人物の顔が青白くなるのを防ぎ、自然な色調を保てます。LEDライトはバッテリーで動作するものもあり、移動しやすいため、事務所内でも手軽に使用できます。
  • ブラインドを開けて自然光を取り込む:可能であれば、蛍光灯の光だけでなく、窓からの自然光を取り込むことが理想です。蛍光灯の影響を少しでも和らげるために、自然光と組み合わせて撮影し、柔らかい光を作り出します。蛍光灯と自然光のバランスが取れた場所を見つけ、そこで撮影することで、より自然な表情が引き出せます。

撮影前後での調整

  • 撮影後の編集で色補正:蛍光灯の影響がどうしても残る場合は、撮影後に編集ソフトで色味の調整を行います。青白くなった写真は、編集ソフトでホワイトバランスを調整するか、全体の色調を少し暖かくすることで、自然な印象を取り戻せます。
  • 光の方向を工夫する:蛍光灯が真上からの直射光になると、影が強く出ることがあるため、カメラの角度を調整して蛍光灯の光が柔らかくなる位置を探すことが重要です。正面からの光が足りない場合は、反射板や白い壁を使って光を補うと、自然な感じになります。

 これらの工夫を加えることで、蛍光灯の影響を最小限に抑え、自然な雰囲気の写真を撮影することが可能です。事務所や社屋内での人物撮影において、光の使い方とその調整は非常に重要なポイントです。

2. 被写体にリラックスしてもらうための環境づくり

 カメラを向けられると緊張してしまう人は多いです。特に、慣れていない社員にとっては、カメラがプレッシャーになり、硬い表情が出やすくなります。そのため、撮影する環境をリラックスさせることがとても重要です。

 カメラを向けられると緊張してしまう人は多く、特に取材慣れしていない社員の場合、表情が硬くなることがよくあります。そこで、撮影時に被写体が自然体でリラックスできる環境を整えることが、魅力的な写真を撮るために非常に重要です。

ポイント

  • 会話でリラックスさせる:撮影中、単にカメラを構えるだけではなく、軽い会話を挟みながら撮影することで、緊張をほぐしやすくなります。話題は仕事に直接関係のない、趣味や最近の出来事などの個人的な話題が効果的です。会話に夢中になったとき、ふと自然な表情が現れる瞬間を捉えることができます。
  • 環境を柔らかくする:撮影する場所そのものも、被写体のリラックスに影響します。例えば、オフィス内の堅苦しい会議室よりも、普段働いているデスクや、カジュアルな空間を選ぶと、より自然な雰囲気が出やすくなります。撮影前に、なるべく居心地の良い環境を作り出すことがポイントです。

3. 動きのある写真を撮る:手元や視線を活かす

 写真に動きがあると、被写体がより生き生きと見え、臨場感が高まります。ポーズをとってもらう静的な写真に加えて、自然な動作や表情を捉えた「動きのある写真」を撮影することで、よりリアルで魅力的な社内報用の写真を得ることができます。ジェスチャーをしてもらったり、小物を持ってもらったりすると、動きのある写真になります。

ポイント

  • 仕事中の手元を撮影する:社員が作業をしている姿や手元の動きを強調することで、業務の一端やそのプロフェッショナルな姿を伝えることができます。特に、手先の細かい動作や資料に目を通している姿など、何気ない仕事の一瞬を撮ることで、より自然で活気のあるシーンを撮影できます。
  • 視線の使い方に注意する:カメラをじっと見つめるのではなく、自然な方向に視線を向けてもらうことで、リラックスした雰囲気が出ます。被写体がカメラを意識しすぎないよう、撮影の際はカメラの存在を忘れてもらう工夫が必要です。例えば、会話中にふと遠くを見ている瞬間や、資料を確認している時の視線を捉えると、自然な動きが表現できます。

4. 場所の選定を意識する:環境が人物を引き立てる

 被写体を撮影する場所の選定は、その人らしさや仕事の内容を伝えるために非常に重要です。適切な背景や環境が、人物の個性や仕事の特徴を引き出す役割を果たします。

ポイント

  • 職場のリアリティを活かす:人物撮影の際、その人が普段働いている職場や作業場を背景にすることで、仕事のリアルな姿を伝えることができます。たとえば、工場の現場での作業や、オフィスのデスクで資料を確認している姿など、日常のシーンを捉えることで、自然な魅力が引き出されます。
  • 背景の選び方:背景が被写体を引き立てる要素となる場合も多いですが、逆にごちゃごちゃしている場合は注意が必要です。背景が雑然としている場合は、被写体との距離をあけて背景をぼかす、またはシンプルな背景を選ぶなど、被写体に集中できるように工夫します。社内報では、読者がすぐに内容に集中できるよう、撮影環境も整理されたものを選びましょう。

5. 複数の人を撮影する際のポイント:関係性を表現する

 複数の人物が登場する写真では、彼らの関係性や協力している姿を強調することで、チームのダイナミズムや連帯感を伝えることができます。ポーズを整えたフォーマルな写真ではなく、自然なやりとりを捉えた写真が理想です。

ポイント

  • 自然な会話シーンを捉える:撮影対象が複数人の場合、彼らが自然に会話をしている瞬間を撮影することで、よりリアルでダイナミックな写真が撮れます。メンバー同士がリラックスして会話をしている瞬間を狙い、その場の雰囲気を引き出すことが大切です。
  • 配置とバランスを考える:グループ撮影では、被写体を前後に配置して立体感を持たせることで、バランスの取れた写真になります。中央にリーダー的な人物を配置し、周りにチームメンバーを配置することで、自然なリーダーシップやチームの一体感を表現できます。また、全員が同じ方向に視線を向けていると、まとまりが感じられ、チームワークを強調することができます。

6. インタビュー写真に変化を加える:意外性を活かす構図

 インタビューシーンの写真は、単に正面から撮るだけではなく、少し工夫を加えることで、より印象的で魅力的な写真に仕上げることができます。角度や被写体のポーズに変化を加えることで、読者の興味を引く写真が撮れます。

ポイント

  • 対話中のシーンを横から撮影する:正面の顔写真だけでなく、少し斜めや横から対話中の様子を撮ることで、動きのあるシーンが生まれます。インタビュアーと向き合っている姿や、何かに集中している様子を別の角度から捉えることで、静的な写真に動的な要素を加えることができます。
  • 手元や資料を強調する:インタビュー中の表情だけでなく、資料に目を通す手元や何かを示している動作を捉えると、より具体的なシーンを伝えることができます。このような細部の動きが、インタビューにリアルさと臨場感を加えます。

7. 最終的な調整と編集:写真の仕上げに気を配る

 撮影後の編集作業も、写真の仕上がりを大きく左右する重要なステップです。明るさやコントラストの調整、トリミングなど、適切な処理を施すことで、写真の印象を一段引き上げます。

ポイント

  • カラーバランスと明るさの調整:蛍光灯の影響や光量の不足で、撮影時に色合いが偏る場合があります。編集ソフトでカラーバランスを調整し、自然な色調を再現することが必要です。特に人物の肌の色が不自然に青白くなったり、暗くなりすぎたりしないように注意します。
  • トリミングで構図を整える:撮影後のトリミングは、写真の構図を整理し、必要な要素に焦点を合わせるための有効な手段です。余分な背景や不要なオブジェクトを除去し、被写体に視線が集中するように調整します。ただし、撮影時にトリミングでカバーできるように、余白を持たせた構図を心がけることが重要です。

まとめ:さらに深みのある人物撮影で社内報を彩る

 社内報の人物撮影は、社員の個性や仕事の様子をより深く、魅力的に表現するための大切な要素です。光の使い方、被写体とのコミュニケーション、動きのある瞬間を捉える工夫、背景や構図の選定など、細かなテクニックを駆使することで、写真の質は飛躍的に向上します。撮影後の編集作業も大切なプロセスの一部として、全体のクオリティを引き上げるための工夫が求められます。

 これらのポイントを踏まえて、社内報をさらに魅力的で説得力のあるものにし、社員の働く姿をより豊かに伝える写真を目指しましょう。や場所の選定、動きのある瞬間を捉えるなど、細かな工夫が必要です。社員一人ひとりの魅力を最大限に引き出すことで、社内報の価値をさらに高め、読者に深く響くコンテンツを提供できるでしょう。