社内報における人物撮影のコツ

 社内報では人物の写真が掲載されていない号が皆無と言えるほど、社内報にとって人物撮影は欠かせないものです。簡単そうに見える人物撮影ですが、イキイキとした表情やその人らしさをうまく表現した写真を撮るには、ちょっとしたコツが必要です。デジカメの進歩とともに写真を趣味にされる方も増え、社内に必ず一人はカメラ好きが居ます。そういった方々が撮影することもありますので、今回はプロの視点からそのちょっとしたコツをご紹介します。

 社内報では、インタビューや座談会や対談風景、普段の仕事の様子、工場での作業風景などはもちろん、時には製品などの撮影においても人物が絡んでくることがあります。それほど、社内の様子を伝える時に対して、人物が登場する効果というのは高いと言えます。まずは個人の特集で撮影する場合の人物撮影のコツです。

tips.1 話しかけながら撮る

 人物を撮影するときには、まず、顔(笑顔・表情)を上手く撮ろうと考えます。イキイキとした表情は紙面を明るく活気あるものにしてくれます。しかし、取材慣れしていない社員の方を撮影する場合、大概の方は硬い表情になります。
 良い笑顔や柔らかい表情を引き出すコツは、単純ですが、話しかけながら撮影することです。私の経験で言えば、たわいの無い話しやその人の趣味の話など、直接仕事に関係のない話をしているときに一番良い笑顔が撮れます。
 そして、できるならば、ジェスチャーをお願いすることです。手の動きがあると表情だけの写真よりも動きが発生し、インタビュー記事への臨場感が生まれます。

tips.2 背景を考える〜水平で撮る

 主体(被写体:撮影したい社員)をはっきりさせるためにも、背景には気を配る必要があります。取材対象者の仕事を象徴するようなものが背景にある場合を除いて、基本的には絞りを解放に近づけ背景をぼかすことをお勧めします。もちろん、不要なものは排除です。昨今のカメラでは、オートで映されることが多いと思いますが、デジタル一眼ではF値やレンズの選択によりボケ味が調整できますし、コンデジでも被写体との距離を取ったり、あえて望遠側で撮ったり、F値を調整できるカメラの場合は背景をぼかすことができます。

 そして、一番気をつけていただきたいのが水平を保つことです。紙面に落とした段階で、水平が取れていない写真があると読者は違和感を感じます。デジタル技術が発達した昨今では編集(デザイン・レイアウト)の段階で写真を修正することは可能なのですが、水平が取れていないと、画像を回転させて背景を水平に戻すと、画像の端が切れてしまうことが多々あります。これだけは修正の施しようがありません。

tips.3 頭切りは意図がある場合のみ

 人物撮影の時に、表情のアップを撮るために被写体に寄って撮ることがあります。その時に気をつけたいのが髪の毛(頭)が切れていないか(フレーム内にきちんと収まっているか)です。例えば、表情の一部を強調する場合、品質管理の方の真剣な眼差しを強調したい場合などは、頭切りをしてあえて鋭い視線だけを強調する場合があります。そういう写真がが必要な時は、積極的に頭切りのアングルで撮影し、記事への信憑性というか没入感というものを高める効果を狙うことがあります。しかし、一般的な社員紹介の写真であれば、髪の毛一本まできちんと撮ることをお勧めします。
 トリミング(写真の一部を切り取るなどの編集)でカバーできる場合とできない場合があるので、できる限りトリミングでの修正の可能性を残して置く方向で撮影することをお勧めします。

tips.4 主体を左右に振る

 上記の写真を見てください。この写真を社内報で使っていた場合、その記事の内容というのはなんとなく想像できると思います。わかりやすいですね、仕事風景です。社員の方を撮る場合、その方を象徴する仕事をイメージしてもらうために仕事風景を撮ることというのは多々あります。そういう場合は積極的に主体(人物)を左右にずらしましょう。仕事内容を的確に表現することができます。

 ただ気をつけて頂きたいのは、仕事の内容を撮るためとはいえ、なるべく縦位置(縦長のレイアウト)で撮らないことです。写真は横位置(横長のレイアウト)が基本です。特に、社内報で撮影した写真を他にも転用(特にWEB)する場合にはこれが引っかかってきます。

顔の向きにこだわる

 そしてもう一つ、社内報のデザイナーは人物の顔の向きにこだわります。上記の写真を社内報で使う場合、基本的には、右側ページで使います。横書きの場合、見開きページの右側ページには左を向いた写真を配置します。例えば下記のような感じです(縦書きの場合は開く向きが逆になるので顔のむきは反対向きの配置になります)。

レイアウトの事例で確認しましょう。

 表紙や左側になるページの場合は、顔は右側を向きます。このようなこの向きの場合、そっぽを向いているようなイメージがなくなり、次に続く感じがします。

 中面のページや最終ページでは、顔の向きはこのようにした方がそっぽを向いた感じがなくなります。見開きの場合は、そのページが左右のどちらかによりページに合う顔の向きの写真を選びます。逆にいうと、撮影の段階でレイアウトが分かっているか、もしくは、左右どちらのページに来ても使えるように、両方の顔の向きを撮影して置くかということになります。

ちなみに、顔がこの角度であれば、表紙など含め、左右どのページでも使えます。この場合はインタビューページの扉やトップページに良さそうですね。

tips.5 ストロボは基本使わない

 コンパクトデジカメやエントリーも得るのデジタル一眼の場合、撮影現場が暗いとストロボ撮影(フラッシュ)を行うように基本設定がなされている場合があります。最近の高性能なスマホでもストロボがありますが、それが常時発光に設定されている場合はその設定を解除しましょう。理由は赤目の解消です。人物撮影の時にフラッシュで撮影すると多くの場合赤目(目が赤く光る現象)が起こります。近年のフラッシュ撮影では撮影と発光の時間を吸う宇文の1秒の単位でずらすことで解消していますが、社内報における人物撮影では基本フラッシュを使うような撮影は不要です。唯一必要なシーンといえば、暗い工場内での作業風景だと思いますが、その時以外は不要です。

tips.6 ここぞというときは角度を変えアップで撮る

 社内には、必ずその道のプロという方がいます、そうでない場合でも普段は目立たない存在であっても実は品質を支えている縁の下の力持ちなど、そういう方は技術職でなく事務職であっても存在します。そいういう方を取材する場合は、是非、手元のアップやその方の仕事内容をイメージできる手元などの部分アップの写真を撮りましょう。その場合は水平を気にする必要はありません。斜めに撮っても縦位置(縦長)でも構いません。普段インスタをされている方であれば、インスタ映えを考えて撮るようなスタンスで構いません。その方が良い写真が撮れます。実はこういった意外性のあるアップの写真は視線を惹きつける力が相当あります。ぜひ、活用してみてください。

tips.7 スマホは使わない

 近年のスマホはレンズや画像処理の技術が躍進し、素人でも普通に良い写真が撮れるようになっています。しかし、スマホで撮影した写真を社内報で使う場合、いくつかのハードルがあります。一つは色の問題。詳しく割愛しますが、カメラなどは光の三原色(加色混合:RGB)であり、印刷などは色の三原色(減色混合:CMY +K)で表現されます。光の三原色の方が可視領域が広いため色の三原色変換しないといけない印刷物などでは、カメラで撮影された写真の色は確実に印刷時に色が変わります。

 もう一つは解像度(画素数)の問題。デジタル一眼やコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)であればまず問題ありませんが、スマホだと画素数によっては印刷に適さない場合がほとんどです。紙面上の画像サイズが小さい場合は問題ありませんが……。

 スマホに搭載しているカメラは●●●●万画素でなどと聞いた事がある方もいると思います。画素数というのは、画像を構成する画素の数の事を表します。画素の単位はピクセルで表し、例えば1,200万画素の画像であれば、一般的な画像比率の4:3とした場合、4,000ピクセル×3,000ピクセルの画素で構成された画像ということです。画素数が高いほど、多くの画素で構成された画像となり鮮明な画像になります。拡大しても鮮明な状態を保ちます。一方、少ない画素で構成された画像の場合は反対に粗れてしまいます。 

印刷可能サイズとの違い

 画素数に応じた印刷可能サイズの計算方法は、1インチ=2.54cmはミリに変換して25.4mmで計算します。

   画素数(ピクセル)÷解像度(dpi)×25.4mm=印刷可能サイズ(mm)

   例)1,200万画素のスマホで撮影した写真を、フルカラー印刷(350dpi)で使用する場合
     4,000ピクセル÷350dpi×25.4mm≒290mm
     3,000ピクセル÷350dpi×25.4mm≒217mm

 以上となり、217mm×290mmのサイズ(A4サイズ相当)であれば350dpiの解像度を保つ事ができます。この程度の解像度がないと社内報で大きなサイズで写真を扱う事ができません。最低でも300dpiは欲しいところです。

 ちなみにiPhoneの場合、iPhone SE以降の背面カメラは1,200万画素です。是非お使いのスマホカメラの画素数を当てはめてチェックしてみてください。