AI文字起こしとPCメモを活かすインタビュー術〜語りのニュアンスを逃さず、確実に受け止めるためのツール活用法〜
社員一人ひとりの言葉に耳を傾け、その想いや経験を丁寧にすくい上げる社内報のインタビュー。
その現場で、ICレコーダーやパソコンを活用することで、記録の精度が高まり、言葉の奥にある感情や意図をより確かに受け止めることができるようになりました。
けれども、大切なのは「ツールを使うこと」そのものではありません。どんなに便利な技術を使っていても、語り手と向き合う姿勢がなければ、言葉は心に届かず、ただの“音”になってしまいます。
今回は、AI文字起こし機能付きICレコーダーとパソコンを使った実践的な取材スタイルをもとに、言葉を“記録”するだけでなく、“意味として受け止める”ためのツールの使い方を紹介します。あなた自身の取材スタイルを見つめ直すヒントとして、ぜひお読みください。

ICレコーダー × AI文字起こしのメリット
AI文字起こし機能を備えたICレコーダーは、記録精度の高さと効率の両立を実現してくれる優れたツールです。
録音を聞き返す時間が削減され、後工程が格段にスムーズになります。さらに、話し手の言葉を一語一句正確に記録できるため、意図の確認や表現の再構成もしやすくなります。特に、語尾の言い回しやちょっとした間のニュアンスを見落とさず、“その人らしい言葉”を丁寧に拾えるのが大きな利点です。
パソコンでのメモ取りがもたらす柔軟性
録音だけに頼らず、パソコンのテキストエディタでリアルタイムにメモを取ることで、**「今、語られていることの要点」や「印象的な言い回し」**を記録しておくことができます。これは、後から文字起こしを読み返す際の“ナビゲーション”としても機能します。
さらに、PCならではの利点として漢字変換が可能で、その場で意味を即確認できる点が挙げられます。話し手が使った言葉を「この漢字で合っていますか?」と見せながら確認することで、意味のすり合わせがその場で行えるのも非常に実践的です。これはとくに固有名詞や専門用語、ニュアンスの微妙な言葉を扱う場面で有効です。
ツールに頼りすぎないためのバランス感覚
高性能なツールを使っていても、「話を聞く姿勢」が曖昧になると語りは深まりません。その場の空気感や、語り手の表情、言葉の選び方に反応しながら、対話としての“臨場感”を保つことが大切です。
録音があるからこそ、より一層相手に集中し、相づちや共感を丁寧に返すことができる。そのことを意識するだけで、語り手の言葉はやわらかく、自然なものになっていきます。
実践のポイント
- ICレコーダーは冒頭で目的を明確に伝える:「文字起こしのために録音させてください。確認用で、編集はこちらで調整します」
- PCメモは“補助的な記録”として活用:話を妨げない範囲でメモし、必要に応じて画面を見せながら確認する
- 「今の言葉、すごくいいですね」と即フィードバック:語り手に気づきを与え、自信をもって語ってもらう雰囲気をつくる
おわりに
AI技術と記録メディアの進化は、私たち編集者の作業を飛躍的に効率化してくれました。
しかし本質は今も変わりません。語り手の言葉にどれだけ心を寄せられるか、どう共に意味を見つけていけるか──それが、社内報におけるインタビューの原点です。
テクノロジーを道具として活かしながら、語り手の物語に“人としての耳”で寄り添うこと。そのバランスを大切にしながら、これからも「語りのそばに立つ編集者」として、言葉を紡いでいきましょう。