視座・視野・視点を意識して社内報の訴求力を高める〜読み手の心をつかむ記事づくりの秘訣

 社内報は、社員に情報を伝えるだけでなく、組織の文化や価値観を共有し、つながりを深める重要なツールです。しかし、多くの社内報が「ただ伝える」だけで終わり、社員の関心を引くことができないという課題を抱えています。こうした課題を克服する鍵となるのが、「視座」「視野」「視点」の3つの要素を意識することです。

 視座とは物事をどの高さや立場から見るか、視野とは視界にどれだけの範囲を入れるか、そして視点とは物事をどの角度から見るかを意味します。この3つを意識することで、記事に深みと幅が生まれ、読み手の心をつかむ社内報を作ることができます。本記事では、それぞれの要素を具体的に掘り下げ、実際にどのように活用できるのかを解説します。

視座を高めて記事の立ち位置を明確にする

 視座は、記事の立ち位置を決めるために欠かせない要素です。高い視座を持つ記事は、会社全体や経営層の視点から組織の大きな目標やビジョンを示す内容となります。例えば、「今年度の成長戦略」や「経営層が語る未来像」をテーマにした記事は、全社的な方向性を示し、社員に長期的な視野を提供します。一方で、低い視座を意識した記事は、現場の視点や個々の社員のストーリーを取り上げる内容となります。現場での具体的な取り組みや社員一人ひとりの成功体験を特集することで、親近感を与え、共感を生む記事になります。


 重要なのは、どちらの視座もバランスよく活用することです。高い視座で会社の全体像を伝える記事と、低い視座で現場のリアルな声を届ける記事を組み合わせることで、全社員にとって価値のある社内報が完成します。

視野を広げて記事の幅を持たせる

 視野を広げることは、記事の内容を豊かにし、偏りを防ぐために不可欠です。広い視野を持つ記事は、会社全体や業界全体の動きを取り上げる内容になります。たとえば、「業界トレンドと当社の取り組み」といったテーマは、社員に自身の業務がどのように全体の流れに位置づけられるかを理解させる助けとなります。

 一方で、狭い視野を持つ記事は、特定の部署や個人の取り組みに焦点を当てる内容になります。「営業部の挑戦」といった具体的な内容は、現場での努力や成果を詳しく伝え、他部署の社員に新たな気づきを提供します。重要なのは、広い視野の記事と狭い視野の記事をバランスよく配置し、読者が全体像を把握しながら個別のストーリーに共感できる構成を目指すことです。

視点を工夫して記事に新鮮さを与える

 視点を変えることで、記事に新たな魅力を加えることができます。縦の視点では、過去、現在、未来をつなぐ記事構成が可能です。例えば、「10年前から見た現在の姿、そして未来へ」といった記事は、会社の歴史や継続的な努力を伝えることで、社員に誇りを感じさせます。

 横の視点では、部署間の連携や協力に焦点を当てることが効果的です。「営業と製造が手を取り合って成功したプロジェクト」といった記事は、他部署への理解を促進し、組織全体の結束力を高めます。また、逆の視点を取り入れることで、普段とは異なる角度から記事を構成することも可能です。例えば、「新人が見たベテランの凄さ」や「外部視点で見る当社の魅力」といった内容は、社員に新鮮な気づきを提供します。

視座・視野・視点を活用した社内報の可能性

 これらの要素を意識した社内報は、単なる情報伝達の枠を超え、社員に新たな気づきや共感を与えるツールへと進化します。例えば、高い視座と広い視野を持つ記事では、会社全体の未来を見据えたビジョンが描かれ、低い視座と狭い視野を用いた記事では、現場のリアルな声が共有されます。また、新しい視点を取り入れた記事は、社員にとって新たな発見の場となり、日常の業務に新鮮なエネルギーをもたらします。

まとめ:視座・視野・視点を磨くことで社内報が変わる

 社内報の価値は、読者に情報を「伝える」だけでなく、「響かせる」ことにあります。そのためには、視座を調整して立ち位置を決め、視野を広げて内容に多様性を持たせ、視点を工夫して記事に新鮮さを加えることが重要です。

 社内報の記事を考えるとき、この3つの要素を意識しながら記事を作成してみてください。読者が心から共感し、行動に繋がるような社内報を目指すことで、組織全体のつながりをさらに強化することができるでしょう。