社内報アンケートの分析法 〜単純集計とクロス集計で改善策を導き出す〜

 社内報アンケートを実施した後、そのデータをどう活用するかが社内報の改善にとって重要な鍵となります。エクセルや統計分析に詳しくない方でも、基本的な集計方法である「単純集計」と「クロス集計」を使えば、社員の満足度や社内報への関心度を効果的に把握できます。また、異なる設問間のクロス集計を行うことで、さらに深い分析が可能となり、ターゲットごとの具体的な改善策を見つけることができます。本記事では、シンプルな集計から応用的な分析までをわかりやすく解説します。

1. まずは基本の「単純集計」からスタート

 単純集計は、各設問の回答数や割合を単純に集計する方法です。たとえば、「社内報の満足度」について5段階評価のアンケートを取っている場合、各評価(「非常に満足」「満足」「どちらでもない」など)ごとの回答数を集計し、全体の傾向を把握します。

単純集計の実施手順

  • エクセルで集計:満足度ごとに回答数をカウントし、割合も算出して視覚的に見やすくします。
  • グラフを活用:棒グラフや円グラフを用いると、満足度の分布が一目でわかりやすくなります。

具体例:満足度の単純集計
「非常に満足」が30%、満足が40%、「どちらでもない」が20%などのように、社員の満足度の分布を可視化し、全体の評価傾向を確認します。

2. さらに深掘りする「クロス集計」

 単純集計で全体的な傾向が見えたら、次に「クロス集計」を活用し、属性ごとの評価を比較します。クロス集計とは、2つの質問項目を組み合わせて分析する方法で、例えば「満足度」と「役職」や「部署」を組み合わせることで、異なる属性の満足度を確認できます。

クロス集計の実施手順

  • エクセルでのピボットテーブル活用:エクセルのピボットテーブル機能を使うと、例えば「役職」と「満足度」を掛け合わせた集計が簡単にできます。行に「役職」、列に「満足度」を設定し、値として「人数」を表示すると、役職別の満足度が確認できます。

具体例:役職別の満足度クロス集計
 例えば、社内報に関する満足度で、「管理職では非常に満足が多いが、現場スタッフは満足度が低め」といった傾向がわかれば、現場スタッフ向けの内容を充実させるなどの改善案が浮かびます。

 こちらは「役職別満足度クロス集計(サンプル)」です。この表では、役職ごとに「不満」「普通」「満足」「非常に満足」の各満足度レベルでの人数を示しています。エクセルのピボットテーブル機能を使用することで、このように役職別の満足度傾向を簡単に把握することができます。

職種非常に満足満足やや満足あまり満足していない全く満足していない
管理職100801550
一般社員806020105
パート社員5040251510
役職別満足度クロス集計(サンプル)

3. 応用編:設問間クロス集計でさらなる分析へ

 設問間クロス集計では、異なる設問の組み合わせを分析して、特定のグループの傾向を把握します。例えば、「関心度」と「記事のテーマ」といった設問に「職種」という属性を掛け合わせることで、特定のテーマに興味がある属性の関心度や改善点の傾向が見えてきます。

応用的な設問間クロス集計の実施手順

  • 対象を絞り込む:クロス集計する設問の選択は、改善に役立つ組み合わせに絞り込むのがポイントです。
  • エクセルでクロス集計:ピボットテーブルで「記事のテーマ」と「関心度」さらに「職種」を掛け合わせ、テーマごとの関心度を分析します。

具体例:記事のテーマと関心度のクロス集計
  こちらは「役職と記事トピック別関心度クロス集計(サンプル)」です。各役職ごとに「第1四半期 成果報告」「技術情報」「福利厚生情報」「社内イベント情報」などのテーマに対する関心度が表示されています。この表により、たとえば「第1四半期 成果報告」への関心度が高いのは管理職が多い、「第1四半期 成果報告」に対する関心度が低いのはパートが多い、などの傾向を把握することができます。

役職第1四半期 成果報告技術情報福利厚生情報社内イベント情報
管理職非常に高い普通高い低い
一般社員普通高い普通非常に高い
パート低い低い普通高い
役職と記事テーマ別関心度クロス集計(サンプル)
  • 管理職:管理職は「第1四半期 成果報告」に対する関心度が非常に高く、「技術情報」に対しては普通、「福利厚生情報」には高い関心を示していますが、「社内イベント情報」にはあまり関心がないことがわかります。次号では、管理職向けに業績報告や成果に関する記事を充実させると効果的でしょう。
  • 一般社員:一般社員は「社内イベント情報」に対して非常に高い関心を持っており、また「技術情報」にも興味を示しています。福利厚生やイベントに関連するコンテンツを強化することで、一般社員の関心を引きやすくなります。
  • パート:パート社員は「社内イベント情報」に対して高い関心を持ちつつ、他のテーマへの関心度は低いことがわかります。パート社員向けには、社内イベントに関する情報や日常業務に役立つ内容を増やすと良いでしょう。

このようにして、特定の役職がどのテーマに高い関心度を示しているかを分析し、今後のコンテンツ作成に役立てられます。

まとめ:基本と応用を組み合わせて社内報の質を向上

 社内報アンケートのデータ分析は、単純集計で全体傾向をつかみ、クロス集計でグループごとの満足度や関心の違いを分析することが基本です。さらに、設問間クロス集計を活用することで、社内報の改善点や、より多くの社員に響く内容が見つかりやすくなります。

 エクセルのピボットテーブル機能を活用することで、エクセルや統計に詳しくない方でも、簡単にデータを可視化し、傾向を読み取ることができます。社内報担当者として、社員のニーズに合わせた社内報作りに役立てていきましょう。