社風づくりにはコーチングのスキル「オートクライン」を活用する。

 「自社に有用な社風を意図的に作りましょう」と推奨している私たちパッションは、社内報の発行と、その制作を外部委託することをお勧めしています。その理由を説明しましょう。

内製化した場合と外部委託をした場合のメリットとデメリットの比較

まずは内製化した場合と外部委託をした場合のメリットとデメリットを比較してみましょう。

 社内報を内製化した場合と外部委託した場合のメリット・デメリットは上記の表の通りです。内輪の話題を中心に構成し、社内の団結力を強めたい場合は内製された方が良いかもしれません。部署間を横断するような意識統一(理念の浸透など)を重視したい場合は、部署間を越える権限を持たせるなどした“広報部”のような部署を創設する方が良いかもしれません。

 しかし、「自社に有用な社風を意図的に作りましょう」と推奨している私たちパッションは、社内報の発行と、その制作を外部委託することをお勧めしています。その理由は、外部委託することのメリットの一つに「外部の人間が取材する効果」というものがあるからです。

 それは、私たちパッションでは“社風づくりができる社内報”を制作するために、取材時にコーチングのスキルである「オートクライン」を活用していることです。



社風づくりにはコーチングのスキル「オートクライン」を活用する。

コーチングの「オートクライン」とは、自分が話した言葉(内容)を自分の耳で聴くことによって、自分が考えていたことに気づくこと。人が「話す」ということは、単に相手に情報を伝達するというだけではなく、会話をすることで自分が何を思っているのかを自分自身が知るという目的も含まれています。

 この自分の脳で考えて発した言葉を自分の耳で聴き、再度、その言葉が脳にインプットされると、この一連の流れが強化されたループとなり、その言葉はさらに強化された状態で無意識に残るようになります。ポジティブな言葉はよりポジティブに、ネガティブな言葉はよりネガティブに……。これが、気づきから行動へと結びつける内発的な動機付けへと変わっていきます。

組織の中層(日和見の層)を推進派に近づける

 この機能を活用することで、下記の図のように、組織の中で士気のレベルの違いにより2:6:2の層に分かれている真ん中の6割の中層(“日和見”で状況によっては、上層・下層のどちらに着くか静観している普通レベルの社員の士気)を、優秀・推進派に近づけるように仕向けていきます。

 このオートクラインを、上司が行うと意図的な感じを与えてしまい(意図的でなくても)、素直に受け取ってもらえません。オートクラインが機能するというよりも、命令やアドバイスというふうに受け取ってしまいます。また、外発的な動機付けで得られる積極的な行動というものは長続きしません。ここに社内報を外部委託する最大のメリットがあると、私たちパッションは考えています。

 つまり社内報は、外部委託することで、「見える化」から「自分ゴト化」、そして「行動化」への一連の流れの中で中層の6割の士気を変化させ(社風づくり)、社内課題を解決できるツールとして効果を発揮し始めます。しかし、社内報は言うなれば漢方薬です。自社に合う調合(自社に合うように社内報の発行形態やコンテンツを最適化)を見つけるまでに時間がかかり、さらに体質改善はできますが、それにも時間は掛かります。

 これが、社内報の制作フローの上流から外部委託を推奨する理由です。