社内報で共有すべきこと

 現在、多くの中小企業では、いかに人材を定着させるかがとても大きな課題となっています。社員の離職率を低下させるには、給与や待遇、福利厚生などの条件や環境の整備だけではなく、職場における人間関係や、居甲斐、やり甲斐、働き甲斐、生き甲斐など、社員の心理的な充足や社員同士の繋がりを感じさせる職場づくりも必要となります。
 そうした社員が定着する職場を作るには、社内で共有すべき事柄が15あるとされています。その15の共有と、どの共有が社内報が得意としているかについて解説します。

社員の定着力を高める「15の共有」とは


 定着率をアップさせるために必要とされる「15の共有」と、その中のどの共有が社内報で扱えるのか、ということについて考えてみましょう。
 15の共有はその目的により大きく3つに括ることができます。「信頼関係を育むための共有」「成長を促すための共有」そして「より高い次元への成長を促すための共有」です。

信頼関係を育むための共有

 信頼関係を育むには、自分だけが知らされていないというようなことがない(役割的にも状況的にも知る権利があるにも関わらず)、共通の思い出がある、自分の意見を適切に扱ってもらえる(なんでも発言できる風通しの良さ)、目標が共有されているなど、周りとの関わり方や組織内での居場所・帰属意識に影響を与える物事の共有が必要です。

    1.分配の共有
    2.思い出の共有
    3.情報の共有
    4.発言の共有
    5.役割の共有
    6.目標の共有
    7.結果の共有

成長を促すための共有

 成長を促すためには、成功や失敗事例、感動や達成感、自分や周りの成長など、向上心を刺激したり、感情を共有したり、思いやりや感謝の気持ちに関わる物事の共有がポイントとなります。

    8.チャレンジ・失敗の共有
    9.感動の共有
   10.達成感の共有
   11.成長の共有

より高い次元への成長を促すための共有

 より高い次元への成長を促すためには、理念やビジョン、夢であったり、その夢や目標に向けた計画や、計画を遂行する人材の情報など、高い志に向かう仲間意識を醸成するような共有が必要になります。

   12.夢の共有
   13.人事の共有
   14.経営の共有
   15.理念の共有

「15の共有」と社内報の相性

◎:とても良い  ○:良い  △:併用・補完的  ×:悪い

共有する内容社内報との相性
信頼関係を育む 1.分配の共有×
 2.思い出の共有
3.情報の共有
 4.発言の共有
 5.役割の共有
 6.目標の共有
 7.結果の共有
成長を促す 8.チャレンジ・失敗の共有
 9.感動の共有
10.達成感の共有
11.成長の共有
より高い次元への成長を促す12.夢の共有
13.人事の共有
14.経営の共有
15.理念の共有



 「15の共有」の中でも社内報と相性が良いものとそうでないものがあります。傾向としては、信頼関係を育むための共有より、成長やより高い次元の成長を促すための共有の方がパフォーマンスが高いと考えられます。
 これらのことを踏まえた上で、どのような企画で、どのように文章をまとめるかにより、社員の定着率アップの支援が行える社内報となります。会社は人で成り立っているからこそ、感情や共感という部分にフォーカスし、社内報で扱っていくことが大切ではないでしょうか。