社長が“勝手に始めた”新規事業を潰さないために:社内報で築く協力の土台

 社長の強い意志で「勝手に始めた」新規事業に、社員の間で不安や戸惑いが広がることは少なくありません。経営層には意図があっても、それが社員には伝わりきらず、「また急に始まった」と感じることも多いでしょう。しかし、こうした状況でも、社内報を活用して新規事業の理解と共感を促し、会社全体の協力体制を築くことが可能です。本記事では、社長の「独断」でスタートした新規事業を全社で支えるために、社内報が果たせる役割をご紹介します。

1. 「社長が勝手に始めた理由」を伝えるインタビュー特集

 社長がなぜこの新規事業に取り組むことを決意したのか、その背景や意図を社員が理解できる形で伝えるインタビューを掲載します。「なぜ今、この事業が必要なのか」「会社として何を目指しているのか」を社長の言葉で直接伝えることで、社員の納得感が生まれ、単なる「勝手に始めた」プロジェクトではなく、会社全体の方向性として意識されやすくなります。社長の強い意志を理解し、「会社全体で取り組むべき事業」として一体感を生むきっかけにします。

2. 「新規事業の進捗と目標」をわかりやすく解説する特集

 新規事業の進行や目標、達成までのステップをわかりやすく解説し、社員全体にその方向性を伝えます。事業の目標が明確になり、進行状況が社内報で共有されると、「今の状況」や「自分たちが何を目指しているのか」が分かりやすくなり、社員はより具体的に新規事業に関わりやすくなります。プロジェクトの進捗や達成が見えることで、「社長が勝手に始めたプロジェクト」が「みんなで進めていく事業」へと認識が変わりやすくなります。

3. 社員の声を集める「現場からの本音」コーナー

 新規事業に取り組む現場の社員の声を拾い、「勝手に始められた」という不安や戸惑いも含めて、現場のリアルな意見を反映するコーナーを設けます。社員が感じている課題や意見を集め、社内報で公開することで、「現場の声」が社長や経営層にも届く仕組みを作ります。こうした現場の声を積極的に取り上げることで、社員は「自分たちの意見も大切にされている」と感じやすくなり、プロジェクトに積極的に関わるモチベーションが高まります。

4. 「苦労とチャレンジ」特集で新規事業への誇りを育む

 新規事業に関わるチームや社員の努力や苦労を「苦労とチャレンジ」として特集し、その奮闘を社内に共有します。特集では、「勝手に始められた」という戸惑いがあっても、現場で懸命に取り組んでいる社員の姿を紹介することで、他の社員もその苦労に共感しやすくなります。現場の姿勢や努力に触れることで、新規事業への応援や理解が広がり、「会社全体での挑戦」という認識が高まります。

5. 「小さな達成」エピソード連載で成功体験を積み重ねる

 新規事業が進行する中で、小さな成功や達成をエピソードとして社内報で共有し、社員全体とその喜びを分かち合います。「社長が勝手に始めたことだけど、こんな成果が出た」「チームの工夫で〇〇が実現した」といった、小さな達成を紹介しながら、新規事業の意義を少しずつ共有することができます。成功体験の共有は、プロジェクトに対する関与意識を高め、社員の一体感を育む助けになります。

まとめ: 社内報が社長の「独断」を会社の「挑戦」に変える力

 社長の独断でスタートした新規事業でも、社内報を通じてその意図や進行状況を共有し、現場の声を反映させることで、社員が「自分ごと」として捉えられる環境が整います。社内報は、社長の熱意と社員の理解をつなぎ、新規事業が全社的な挑戦として支えられる土台を築くための力強いサポートツールになるでしょう。