複数拠点をつなぐ社内報:3社の事例から見えてくる活用ポイント

 いまや国内外に複数の拠点を持つ企業は珍しくありません。しかし、拠点が増えるほど地域や部門ごとに情報格差が生じやすく、コミュニケーションの停滞によって企業全体の生産性やエンゲージメントが下がるリスクも高まります。そこで有効なのが「社内報」の活用です。ここでは、実際に多拠点展開している3社(A社、B社、C社)の事例をもとに、社内報が果たす役割や運用のポイントをご紹介します。

1. 社員が“同じ方向”を見るためのツール

 複数拠点を持つ企業ほど「目指すべき姿」や「共通の価値観」を全社員へ浸透させることが欠かせません。社内報では、経営理念やビジョン、新規事業の進捗状況などを定期的に届けることで、離れた拠点の社員でも同じ目標を意識しやすくなります。たとえば、新規プロジェクトの背景や今後の見通しを明確に伝える記事を掲載することで、「自分たちは大きな組織の一員として、どこへ向かっているのか」が見えやすくなり、組織全体の指針をしっかり共有できます。

A社の事例

 国内外10ヶ所以上の拠点をもつA社は、7年以上にわたって毎月社内報を発行しています。長期的に継続してきた結果、企業理念やビジョンの浸透が進み、グループ会社間のコミュニケーションが活性化。さらに毎月のテーマ設定で全社員が同じ方向に向かう機会を提供しています。

2. 拠点間の連携と情報共有を促進

 部署や拠点が異なる社員同士が、お互いの仕事内容を詳しく知らないままだとコミュニケーションのタイミングを逃し、連携も滞りがちです。そこで、遠隔地にいる部署の“1日の仕事の流れ”やスケジュール感を紹介するコンテンツを取り入れると、「この時間帯なら連絡を取りやすい」「ここのタイミングで相談すれば迅速に対応してもらえる」といった具体的な情報が得られます。また、新入社員や異動したメンバーの紹介記事を載せれば、顔と名前が一致しやすくなるほか、それぞれの業務内容や得意分野が分かるため、部署の垣根を越えた協力体制づくりに役立ちます。

B社の事例

 国内外15ヶ所以上の拠点を展開するB社は、既存社内報のリニューアルを経て1年半が経過しました。各部署の働き方を可視化し、新入社員や既存社員の顔が見える企画を定期的に発信することで、全拠点が連絡を取り合うきっかけが増え、コミュニケーションが取りやすくなったといいます。

3. 継続的発行で組織文化を強化

 多拠点企業であればあるほど、社内報を「単発企画」で終わらせるのではなく、定期的に発行することが大切です。3社の事例を見ても、毎月や隔月といった形で“必ず新しい号が届く”仕組みをつくることで、拠点間の一体感を長期的に育んでいます。継続的に社内報を発行することで、社員が「次はどんな情報が載るのか」と楽しみにし、社内報を通じて組織の動きや社員の声を吸い上げる土壌が自然と形成されます。こうした流れが定着すれば、企業文化の底上げや社員エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。

4. 紙×デジタルで到達度をアップ

 多拠点に社員が散在する場合、紙媒体だけでは情報が十分に届かないケースがあります。そこで、印刷物とあわせてPDFデータをイントラネットや社内SNSへアップし、遠隔地や在宅勤務の社員でも手軽に閲覧できるようにする企業が増えています。また、工場のオペレーターなど、就業時間中にパソコンを使う機会が少ない部署には、掲示物という形で同じ内容を見られるよう工夫することが重要です。紙とデジタル、両方のチャネルを活用することで、「必ずどこかで見てもらえる」環境を整え、情報の到達度を最大化することができます。

C社の事例

 国内外12ヶ所以上の拠点を持つC社は、創刊号からの取引でまだ3ヶ月という短い期間ながら、紙とPDFデータによる社内報を併用しています。創刊特大号では大ボリューム(16ページ)を発行し、他拠点の社員たちにも企業の歴史や新規プロジェクトの内容を丁寧に伝えることができました。今後は社員紹介やグループ会社紹介をメインに展開していく方針で、紙とデジタルを組み合わせた情報発信をさらに充実させる予定です。

5. ワンストップ対応でスムーズに運用

 3社の事例いずれも、取材から編集、デザイン・レイアウトまでを一括して外部へ委託することで、短納期かつクオリティの高い社内報を安定的に生み出しています。多拠点を持つ企業では、それぞれの拠点で取材が発生したり、記事のチェックをする担当者が複数にわたるなど、制作プロセスが煩雑になりやすいという課題があります。しかし、外部の専門チームを活用するとスケジュール調整やレイアウトデザインなどの負担が軽減され、自社はコンテンツ企画や最終的な校正・承認に集中できるという利点があります。

まとめ

 複数拠点を持つ企業だからこそ、社内報は地理的な距離を解消し、社員同士をつなぎ合わせる心強いツールとなります。A社、B社、C社のように、定期発行によって企業のビジョンや業務内容をしっかり周知しながら、拠点間のスケジュール感や活躍する社員の姿を共有することで、組織全体の一体感を育んでいる事例は大いに参考になるでしょう。

 また、紙とデジタルを組み合わせた配信方法や、ワンストップでの外部委託といった工夫を取り入れることで、より広範囲かつ確実に情報を届けられる仕組みが整います。こうした取り組みを継続することで、企業文化や価値観が拠点を越えて深く浸透し、多拠点組織であっても一致団結して高い成果を目指す基盤が築かれるのです。

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