社内報「あるある」から見える“制作のリアル”

 社内報の制作は、一見すると単純な業務に思われがちですが、実際には多くの試行錯誤と苦労が詰まっています。制作チームは「もっと面白いものを作りたい」と思いながらも、締め切りや予算、社内の反応との板挟みで奮闘する毎日です。そして、読者側からも「読みにくい」「同じ内容ばかり」という声が上がることもしばしば。

 そんな中、制作・読者・内容・社内文化の視点から浮き彫りになる「社内報あるある」は、単なる失敗談ではありません。これらは、社内報をより良くするためのヒントや改善点を教えてくれる貴重な材料です。今回は「あるある」を通じて見える課題を深掘りし、改善策を探ってみましょう。

制作に関するあるある

  1. 締め切り直前まで原稿が揃わず、制作チームが焦りまくる
    → 取材先に「どうしても今日中にください!」とお願いしても、「明日でいいですか?」と返ってくる無情。社内報の締め切りは、なぜか常に周知されていない。
  2. イベント写真が低解像度のスマホ撮影で「使えない」ケースが頻発
    → 社員から送られてきた写真の画質が荒すぎて、「これ、もしかして拡大コピーの写真ですか?」と疑いたくなるレベル。
  3. 社長メッセージが予想以上に長く、紙面を圧迫
    → 「社内報って、誰のものですか?」と言いたくなるくらい社長コーナーが独占状態。でも削ると怒られるというジレンマ。
  4. デザイン案を提示すると「文字が小さい」「写真をもっと大きく」などリクエストが続出
    → 修正リクエストが全員バラバラで、「これ、最初の案に戻したほうが良くない?」という結論になりがち。
  5. 同じ社員ばかりが特集され、「またこの人?」とマンネリ感が漂う
    → 特集常連さんの「また載っちゃいました!」という無邪気な笑顔が逆に刺さる制作チームの心。
  6. 制作ソフトやPCが古いため、作業効率が悪い
    → デザインデータを開くたびにPCがフリーズし、「社内報より先にこのPCをリニューアルしたい」と切実に思う。
  7. 予算がいつもギリギリで、紙質やページ数を減らす決断を迫られる
    → 「このページ、なくてもいいんじゃない?」と言った途端、全員に白い目で見られる編集リーダーの悲劇。

読者に関するあるある

  1. 文字が多すぎて読まれず、写真ページだけが注目される
    → 写真コーナーだけがボロボロになるほど読まれていて、他のページが新品同様で返ってくる現実。
  2. 社員の名前や役職を間違えると、クレームが殺到
    → 「自分の名前が間違ってるって、これ誤植じゃなくて侮辱ですよね?」と、真顔で言われた日のことは忘れない。
  3. 社内報の存在を知らない社員もいて、配布後に「何ページあるの?」と聞かれる
    → 「まず開いてください」と言いたいのをグッとこらえて、「30ページです」と丁寧に説明する自分に自己満足。
  4. 若手社員から「自分たちの声が反映されていない」という不満が上がる
    → 若手の不満を反映した次号でも「あれ、これ僕たちの声でしたっけ?」といわれ、深まる謎。
  5. 紙媒体の社内報が家族に回覧され、意外な層から好評を得る
    → 「夫が『うちの会社、こんなの全然やってない』って羨ましがってた!」という予想外のポジティブフィードバック。

内容に関するあるある

  1. 「新入社員紹介」「社長メッセージ」「イベントレポート」という固定化したトピック
    → 「これ、去年の社内報じゃない?」とデジャヴを感じたら、今年の号だったという悲劇。
  2. 特定部署の専門用語が多すぎて、他部署が内容を理解できない
    → 「いや、こっちも解説書を読んでから出直していいですか?」と思うほどの専門用語祭り。
  3. 過去の写真が使い回され、「これ、前にも見たような…」という既視感
    → いっそ「過去のベストショット特集」にして正当化したくなるレベルの使い回し率。
  4. レポート記事が「楽しかった」など曖昧な内容で終わり、具体性に欠ける
    → 「それで?何が楽しかったの?」と突っ込みたくなる読後感。
  5. 次回予告がなく、読者が次号を楽しみにできない
    → 「次回予告を作る余裕がなかった」という裏事情を語れない制作チームの辛さ。

社内文化に関するあるある

  1. 管理職が載ると「アピールだ」と噂される
    → 特集された管理職の「あれ、ちょっとやりすぎちゃいましたかね?」という照れ笑いが余計に火を注ぐ。
  2. 一部の社員ばかりが目立ち、その他大勢の不満を招く
    → 「またあの人?僕たち透明人間なんですかね?」と皮肉たっぷりのコメントが届く。
  3. 社内報で初めて「この人、こんな部署にいたんだ」と気づく
    → 顔写真を見て「あ、この人に資料渡してた!」と慌てる営業部員の図。
  4. フィードバックを求めても、ほとんど反応が返ってこない
    → 「アンケートに答えたら何か貰えるんですか?」と聞かれる始末。
  5. 配布後すぐに捨てられる悲劇も
    → ゴミ箱に捨てられる瞬間を目撃しても、「これ、良い情報載ってますよ!」と拾い上げる勇気はない。

まとめ:あるあるを活かして次へのステップへ

 社内報制作における「あるある」は、多くの制作チームが直面する共通の課題を表しています。しかし、これらの課題は改善への大きなヒントでもあります。以下は、それぞれの課題に対する具体的な改善案です。

  • 制作段階のあるある
    締め切り直前まで原稿が揃わない場合は、年間スケジュールを事前に共有し、リマインドをこまめに行う仕組みを導入しましょう。また、写真データの画質問題には、社員向けに簡単な写真撮影ガイドを配布するのも有効です。
  • 読者の反応に関するあるある
    読まれるのが写真ばかりという現状には、ビジュアル重視のレイアウトを採用しつつ、簡潔で目を引くキャッチコピーを追加する工夫が求められます。さらに、社員アンケートやQRコードを活用した簡単なフィードバックシステムを導入し、読者の反応を具体的に把握しましょう。
  • 内容に関するあるある
    「トピックが毎回同じ」という課題には、全社員に「次回取り上げてほしいテーマ」を募集する機会を設けると、多様性が生まれます。また、専門用語の多さを改善するためには、編集段階で一般社員にも理解しやすい表現に修正することが必要です。
  • 社内文化に関するあるある
    管理職ばかり目立つという不満には、全社員を均等に取り上げる方針を打ち出し、部署ごとのバランスを考慮することが大切です。さらに、若手社員やパート・アルバイトの声を特集することで、多様性を反映させた社内報づくりを目指しましょう。

 社内報は、社員の声を反映し、組織全体をつなぐ重要なコミュニケーションツールです。「あるある」を単なる笑い話で終わらせるのではなく、それを改善や工夫のきっかけとすることで、より魅力的で効果的な社内報を生み出すことができます。次号の制作に向けて、この「あるあるリスト」を活用し、社内報を組織文化を醸成する強力なツールへと進化させていきましょう!

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