「どんぶらこ」で社内報が変わる:オノマトペがもたらす表現の力

 桃太郎の物語で登場する「どんぶらこ」という言葉。この一言で、桃が川を流れる様子が目に浮かび、物語の世界に引き込まれます。このように、オノマトペ(擬音語・擬態語)は、言葉だけでは伝えきれない感覚やニュアンスを補完し、読者に強い印象を残す力を持っています。

 社内報においても、オノマトペを活用することで、記事の親しみやすさや読者への浸透力を大幅に向上させることができます。本記事では、オノマトペを活かした社内報の可能性を深掘りしていきます。

1. オノマトペが生む表現の魅力


 オノマトペには次のような効果があります。

1-1. イメージを鮮やかに伝える

 オノマトペは、読者に感覚的なイメージを直接届ける力を持っています。たとえば、「川を流れる桃」と言うよりも、「桃がどんぶらこと流れる」と表現するほうが、生き生きとした情景を読者に伝えられます。

活用例

  • 社員旅行の記事で:「バスがガタゴト揺れながら山道を登り、景色にみんなが『わあっ』と歓声を上げました。」
  • 製造現場の紹介で:「工場では機械がガシャガシャと動き、チームがテキパキと作業を進めています。」

1-2. 感情を引き出す

 オノマトペは、読者の感情に訴えかける力があります。「ワクワク」「ドキドキ」など、読者が自分の体験と結びつけて感じることができる表現です。


活用例

  • 新製品発表の記事で:「発表会では、新製品の登場に会場がドキドキの期待感に包まれました。」
  • プロジェクト成功の紹介で:「チーム一丸となって取り組み、最後にはみんながホッと胸を撫で下ろしました。」

1-3. 親しみやすさを加える

 難しいテーマや堅い内容でも、オノマトペを加えることで、読者が気軽に楽しめる記事になります。

活用例

  • 新制度説明の記事で:「この新しいシステムで、書類作成がサクサク進み、仕事がグッと効率化します!」
  • 業績報告で:「今年の業績は、営業部がグイグイ引っ張る形で大きく伸びました。」

2. 社内報でのオノマトペ活用法

2-1. 日常の様子を生き生きと描く

 社員の日常やイベントのシーンをオノマトペで表現することで、読者に情景を想像させます。


例:社内イベントレポート
「社内運動会では、社員がヨイショヨイショと綱引きに挑戦。応援席からはワーワーと大きな声援が飛び交いました。」

2-2. 専門的な内容をわかりやすく伝える

 オノマトペを使うことで、専門的なテーマや難解な説明を親しみやすくすることができます。


例:業務効率化の説明
「このシステムを導入することで、データ入力がサクサク進み、エラーもグンと減りました。」

2-3. 読者の参加を促す

 読者を巻き込む形でオノマトペを活用する企画を取り入れると、社員同士のコミュニケーションも活性化します。


例:読者投稿コーナー

  • テーマ:「職場の音をオノマトペで表現しよう」
    「コピー機がウィーンと動く音」や「朝の打ち合わせがザワザワしている様子」など、社員の視点からユニークな投稿を集めます。
  • クイズ形式:「このオノマトペ、何を表している?」として、特定の音や動きをクイズ形式で紹介し、次号で答えを発表します。

3. オノマトペを使う際の注意点

3-1. 多用しすぎない

 オノマトペを多用すると、かえって読みづらい記事になることがあります。強調したい部分や柔らかく伝えたい内容に限定して使うと効果的です。

3-2. 読者層を考慮する

 読者の年齢層や職種によって、オノマトペの受け取り方は異なります。職場の雰囲気に合う言葉を選び、全員が理解しやすい表現を心がけましょう。

3-3. 具体性を持たせる

 オノマトペを使う際は、読者が具体的な情景を思い浮かべやすいようにすることが大切です。「ドキドキ」だけでなく、「発表前の数分間、胸がドキドキした」といった具合に、シチュエーションを補足します。


4. オノマトペが社内報を変える理由

  1. 読者の記憶に残る
    オノマトペはリズムや音が頭に残りやすく、記事の内容も一緒に記憶されやすくなります。
  2. 親しみやすさを生む
    堅苦しい記事が多い中で、オノマトペを使った軽快な表現が親しみやすさを提供します。
  3. 社内コミュニケーションを活性化する
    読者投稿企画やクイズ形式でオノマトペを活用することで、社員が楽しみながら社内報に関心を持つきっかけを作れます。

結論:どんぶらこと情報を届ける社内報を目指して

 「どんぶらこ」という桃太郎の物語のように、オノマトペを活用すれば、社内報はただの情報伝達ツールを超え、読者の心に響くメディアへと進化します。難しいテーマも親しみやすく伝え、読者の記憶に残る記事を作ることができるのです。


 社内報では、ぜひオノマトペを使った表現を取り入れてみてください。情報がどんぶらこと流れるように、社内の雰囲気を明るくし、社員のつながりを強化するきっかけとなるでしょう。