外から見るか、内から見るかで変わる社内報のスタンス：社内報の外部委託を考える

　社内報は、企業内のコミュニケーションを活性化し、社員同士のつながりや会社のビジョンを共有するための重要なツールです。しかし、社内報の制作を社内で行うか、外部に委託するかは、企業ごとに異なる判断を求められるポイントです。外部委託することで得られるメリットとデメリットを考慮し、どちらが自社にとって最適かを見極めることが重要です。

　この記事では、社内報の外部委託におけるメリットとデメリットを整理し、企業がどのようなスタンスで社内報制作に臨むべきかを考察します。

社内報を外部委託するメリット

1. プロの視点と専門知識の活用

　外部の制作会社に社内報を委託する最大のメリットは、プロフェッショナルな視点と専門知識を活用できる点です。社内報制作に長けた外部の専門家は、デザインや編集技術、文章の作成に優れており、社内のリソースでは得られないクオリティを実現することが可能です。また、プロのライターやデザイナーの力を借りることで、より効果的で洗練された社内報を作り上げることができます。

• メリット：クオリティの高い社内報が短期間で作成でき、デザインやレイアウトに統一感が生まれる。
• 例：社内の限られたリソースでは出しにくい、鮮やかなグラフィックや読みやすいレイアウトを専門家が提供してくれます。

2. 客観的な視点の導入

　社内で社内報を制作する場合、どうしても「内輪の視点」からの発信になりがちです。外部委託では、第三者の目で企業の状況を捉え、客観的な視点から情報を整理して発信できます。特に、経営層のメッセージやビジョンをより効果的に伝えるためには、社内に留まらない外部の視点が重要です。

• メリット：社内報の内容が客観性を持ち、バイアスがかかりにくい。社員に対して新鮮で信頼性の高い情報を提供できる。
• 例：外部ライターがインタビューを行うことで、社員の声を公平に取り上げることができ、社内政治に左右されない内容になる。

3. 時間とリソースの節約

　社内で社内報を作成するには、制作のためのリソースや時間を割く必要がありますが、外部に委託すれば、社内の社員が本来の業務に集中することができます。制作のプロセスや進行管理を外部に任せることで、社内の人材リソースを効果的に活用し、全体的な効率化を図ることが可能です。

• メリット：社員が社内報の制作に割く時間が減り、本来の業務に集中できる。制作の進行がスムーズに進む。
• 例：定期的な社内報制作を外部委託することで、毎月の進行管理や編集作業を省略し、限られたリソースを他のプロジェクトに振り向けることができる。

4. トレンドや最新技術の導入

　外部の制作会社は、社内報のトレンドや最新の技術に敏感です。デジタル化やオンラインコンテンツの制作など、最新の方法を取り入れた社内報を作成することが可能です。こうした新しい技術を導入することで、よりインタラクティブで社員の関心を引きつける社内報を実現できます。

• メリット：最新技術やトレンドに対応した魅力的な社内報が制作できる。
• 例：デジタル社内報の制作や、スマートフォン対応のインタラクティブコンテンツを取り入れ、若手社員にも親しみやすいコンテンツを提供。

社内報を外部委託するデメリット

1. 社内事情を深く理解していない可能性

　外部委託のデメリットの一つは、外部の制作会社が社内の細かな事情や文化、独自のコミュニケーションスタイルを十分に理解していないことです。特に、中小企業や特殊な業界では、社内の独自文化や内輪の状況を把握するまでに時間がかかることがあります。

• デメリット：社内の特有の状況や背景がうまく反映されないリスクがある。
• 例：外部ライターがインタビューをしても、社内の雰囲気や文化を的確に捉えられないため、内容が表面的なものになってしまうことがある。

2. 費用がかかる

　外部委託には当然ながら費用が発生します。特に、プロフェッショナルなサービスを求める場合、その費用は社内で制作する場合よりも高くつくことが一般的です。企業の予算によっては、外部委託のコストが社内報制作にかかる負担として大きくのしかかる可能性があります。

• デメリット：コストが高くなり、継続的な外部委託が予算的に難しい場合がある。
• 例：毎月の社内報制作を外部に依頼すると、デザイン費やライティング費、編集費が積み重なり、年間の予算を圧迫することもある。

3. 即時対応が難しい

　外部に社内報制作を委託すると、急な変更や追加対応が必要になった場合、即座に反映できないことがあります。特に、社内での緊急の情報発信や、タイムリーなニュースを社内報に盛り込みたい場合、外部委託だとタイムラグが生じる可能性が高いです。

• デメリット：緊急の変更や即時対応が難しい。納期の管理が外部依存になる。
• 例：社内で急なトピックが発生しても、外部委託の場合、制作スケジュールの都合上すぐに反映できないことがある。

4. 企業独自の声が失われる可能性

　外部に委託することで、企業独自の言葉やメッセージが薄れてしまうリスクもあります。外部ライターやデザイナーが企業のトーンやスタイルを完全に理解できず、社内報が他社と似たようなスタイルになってしまうこともあります。社員が「自分たちの声」として共感できる内容にならない可能性があります。

• デメリット：会社特有のメッセージや声が失われ、共感を得にくい社内報になることがある。
• 例：外部ライターが制作する記事が、無難でありきたりな内容に終始し、社員に響かないものになってしまうリスク。

まとめ：外部委託のスタンスをどう考えるか

　社内報を外部に委託するか、社内で制作するかは、企業の状況やリソースによって異なります。外部委託には、プロフェッショナルな視点や時間の節約、最新技術の導入といった多くのメリットがありますが、同時に、社内の事情を深く理解していない可能性やコストの問題もあります。

　外部委託を検討する際には、社内報が企業の声を反映し、社員の共感を得られる内容であるかを常に意識することが重要です。どちらのスタンスを取るにしても、企業の文化や価値観をしっかりと伝えることができる社内報を目指すべきです。