組織は感情で動いている:良い社風を育む社内報は、社員の感情を大切に扱っている

 組織は単なる機械のように効率的に動くものではなく、感情を持った人々が集まって構成された有機的な存在です。社員一人ひとりの感情が、日々の意思決定や行動に大きく影響を与え、結果として組織全体の文化やパフォーマンスに反映されます。社員の感情を大切にすることは、組織の持続的な成長を支える重要な要素であり、その視点を持つことが、組織全体の健全な「社風づくり」にもつながります。

 この記事では、「組織は感情で動いている」という視点を踏まえ、社内報が組織の感情や社風づくりにどのように役立ち、具体的な場面でどのように活用できるかを考察します。

1. 組織内の感情と社風の関係

 感情と社風は密接に関連しています。社風は、創業者の思いや理念、組織内での行動規範や価値観、判断基準、コミュニケーションのスタイルから生まれますが、その基盤となっているのは、日々の業務や人間関係における感情です。感情がポジティブに働くと、社員同士の信頼関係が強まり、健全で前向きな社風が醸成されます。反対に、感情が軽視されると、社員は疎外感を感じ、不信感や摩擦が生じ、社風が乱れることになります。

社風づくりの感情的要素:

  • 感謝と称賛がもたらすポジティブな文化:社員が互いに感謝の気持ちを持ち、称賛されることによって、組織内に前向きなエネルギーが生まれます。この感情が積み重なることで、ポジティブな社風が形成されます。
  • 変革期における不安とサポートの重要性:変革の時期には、不安や戸惑いが感情として現れます。社員がサポートされ、安心感を得られると、この不安は次第に信頼に変わり、変革に対する前向きな姿勢が生まれます。

2. 社風づくりに貢献する社内報の活用シーン

 社内報は、組織の感情に働きかけ、長期的に良い社風を育てる強力なツールです。具体的に、社内報が感情を扱うことで社風にどのような影響を与え、どの場面でその力を発揮するかを見ていきます。

a. 感謝と称賛の共有で前向きな社風を育てる

 社内報は、社員の貢献や成功を称賛する場として最適です。社員の功績を認め、感謝を伝えることで、個々の努力が組織全体にとって価値あるものであることが周知され、感情的なつながりが強化されます。特に、感謝や称賛の感情を社内報で共有することで、社員が前向きな気持ちを持ちやすくなり、ポジティブな社風が長期的に育まれます。

 例えば、「社員紹介」や「成功事例」を掲載し、他の社員がどのように努力し、成功を収めているかを紹介することで、組織全体に感謝の文化を浸透させることができます。これにより、感情的なつながりが深まり、前向きな社風が形成されます。

b. 変革期の不安を社内報でサポートする

 組織の変革期において、社員が感じる不安や疑問を適切にサポートすることは、健全な社風を育てるために重要です。社内報は、変革の目的や進捗状況を伝える場として活用され、社員が安心して変化を受け入れるためのサポートツールになります。透明な情報共有を行うことで、不安を軽減し、変革に対するポジティブな感情を引き出すことができます。

 例えば、社内報にリーダーのメッセージやQ&Aコーナーを設け、社員が感じる不安や質問に答える形で情報発信を行うことで、安心感と信頼を築き、変革期の社風を守りつつ、育てることができます。

c. 社員間の感情的つながりを強化し、協力的な社風を育てる

 社員同士の感情的なつながりが強まることで、協力的な社風が育まれます。社内報を活用し、異なる部門や役職の社員の活動や価値観を紹介することで、社内のつながりを強化し、感情的な一体感を醸成します。特に、普段関わりの少ない部署同士が理解を深め合うことで、協力的で温かい社風が形成されます。

 例えば、「部門紹介」や「プロジェクトの裏側」などのコーナーを通じて、異なる部門の仕事や挑戦を紹介し、社員同士の理解を深めることができます。これにより、組織内の感情的な距離が縮まり、協力体制が強化されます。

3. 社風づくりを意識して社内報で感情を扱うためのヒント

 社内報を通じて、感情や社風づくりを促進するためには、いくつかの工夫が必要です。感情的な影響力を高め、健全な社風を育てるために、次のポイントを考慮しましょう。

  • 感情に共感するストーリーを伝える:社員が共感できるストーリーや経験を社内報で紹介することで、感情的なつながりが深まり、組織全体に前向きな感情が広がります。成功事例や失敗から学んだ教訓など、感情を動かすストーリーを積極的に発信しましょう。
  • 社員の声を取り入れて双方向のコミュニケーションを促す:社内報を通じて社員の声を取り上げることで、双方向のコミュニケーションが生まれます。社員が自分の意見や感情を表現できる場を設けることで、組織内の感情的なつながりが強化され、エンゲージメントが向上します。
  • 社風を意識したリーダーのメッセージを発信する:社風づくりにおいて、リーダーの役割は非常に重要です。リーダーが社内報を通じて、感情に寄り添うメッセージを発信することで、社員は安心感と信頼を感じ、リーダーシップに対する共感が深まります。

まとめ:感情に働きかける社内報の力…社風づくり支援

 組織は感情によって動いています。そして、その感情が集まって形成される社風こそが、組織の成長や変革を支える重要な基盤です。社内報は、感情に働きかけ、社員同士やリーダーとのつながりを深め、長期的に良い社風を育てるための強力なツールです。

 社内報を活用して、社員の感情を大切にし、前向きで協力的な社風を育てることで、組織全体が一丸となって未来に向かって進むことができます。感情を無視せず、社風づくりのための取り組みを社内報に反映させ、持続可能な成長を支える強い組織を作り上げましょう。