第95回 気まぐれ!メンズトークが放送されました!

 第95回目のゲストは、福山でオリジナルの革製品を製造販売する工房「レザースタジオ サード」の職人であり経営者でもある三島進さんをお招きし、革の魅力、革職人としてのこだわりなど革に対する熱い想いをお伺いしました。

 『革は自分で育てていくプロセスも楽しめる素材。』

 そう語る三島さんは、革職人の父を持ち、傍にはいつも革がある環境で育った生まれながらの職人です。しかし、高校時代に音楽にハマりバンド活動に没頭。卒業後ミュージシャンを夢見て上京したが、思うように行かず帰郷。その後、職人として高い技術力を持つ、父「クラフト工房カーフ代表 三島和久」の下で革職人としての下積みを始めるという経歴の持ち主です。

 下積み時代に「日本革工芸協会」の工芸展に数々の作品が入選。2007年に、斬新で全く新しい独自の世界観を持つ「オリジナルレザーカービング」を確立し、オリジナルブランド「サード」を立ち上げ、2011年に法人化。オーダーメイドを中心とした工房は多くのお客様が足を運ぶ有名店になています。
 その後、地元福山を活性化したいとの想いで、伝統工芸とのコラボにより藍染の革「福山レザー」を自社開発されるなど精力的に活躍されています。藍染の福山レザーは独特の風合いを持ち所有欲を満たす逸品です。私も小銭入れを購入しましたが、見た目も手触りも良くとても気に入っています。
 三島さんの革への想い、職人としてのこだわりはその技術力にも表れており、2020年3月に開催された革の公募展「インターナショナルレザークラフトエキシビジョン」のバッグ部門では、革細工の最高峰の技術と言われるカービングを施した三角形の鞄「トラクル」が1位を獲得するなど、日本屈指の技術力を持たれています。

 

 

 革製品の魅力

 放送では革製品の魅力について熱く語っっていただきました。
 ブランド物は渡した時(購入した時)がゴールで、ブランド物は「経年劣化」していく。しかし、革の素材感を大切にした製品は「経年変化」を楽しめるのでより愛着が湧く。つまり、渡した時(購入した時)を起点に、使い続けるほどに魅力を増す製品だとのこと。
 その理由は、2種類ある革のなめし方法の違いによるもの。一つは自然由来の方法、植物性の渋を使う「タンニンなめし」。もう一つは化学薬品である六価クロム(燃やすと有害)を利用する「クロムなめし」。なめしとは「皮」→「革」に変える工程のことで、この工程は、製品として使える革(硬く頑丈で、かつしなやかにする)にするためのものです。
 クロムのメリットは、強い、安い、発色がよく水にも火にも強いこと。デメリットは、ビニールっぽい。タンニンはその反対。タンニンの方が革は強いそうです。しかしタンニンの工程には1週間以上かかるため大量生産ができない。そのため値段は倍から3倍程度になります。タンニンは、ちょっと黄色っぽく青系の発色が難しい。水に弱く、火を当てるとケロイドになる。メリットは革らしい風合いがあり、使っていけば味が出る経年変化を楽しめる革です。現在の日本の革製品の9割がクロムなめし。

「サード観光地化」という夢

 福山に生まれ育った人間として、福山市を観光地にしなければという思いが強く、福山を観光地にしようという夢ができたと言う三島さん。
 ものづくりなので、伝統産業とのコラボで特産品を作ろうと考え、福山の伝統工芸品である藍染で作られる「備後がすり」からヒントを得て、藍染の革製品というアイデアがうアイデアが生まれたとのこと。それが「福山レザー」。

 一番最初に作ったのが携帯ストラップ。2000年には福山市の花「バラ」のキーホルダーを藍染めの福山レザーで作った。青い色。青いバラは世の中に存在せず、過去に多くの人たちが青いバラを作ろうと品種改良にチャレンジしてきたが実現していなかった。そのため青いバラの花言葉は「不可能」ということになっていた。しかし、サントリーが青いバラを作ってしまったため花言葉が変わり「奇跡」になった。
 ならば、その話にあやかろうと、この奇跡の青いバラで「『福山市を観光地にする』という奇跡を叶える」というストーリーを勝手に作り、市役所の記者クラブにプレスリリースを出したら多くの取材が入った。取材回数も50回を超え福山市では認知が出てきた。2015年頃に広島るるぶに掲載されるなど、メディアを積極的に活用して革製品の業界を盛り上げています。

 放送の最後に「藍染の革『福山レザー』の次は『日本レザー』を作りたい」と、新たな夢を集っていただきました。高い目標に向かってさらに活躍の場を広げようとされている三島さんを見て、私もこうありたいと良い刺激をいただけた、放送になりました。


三島さんの革製品についてのお問い合わせ、ご購入などは下記サイトをご覧ください。素晴らしい革製品ばかりですよ!

「レザースタジオ サード」