第132回 気まぐれ!メンズトークが放送されました!

 第132回目は、市民目線の斬新な政策で総社を改革し、趣味のピアノの弾き語りでも市民を魅了するなど多才な一面を持つ片岡聡一市長をお迎えし、防災や障害者支援、空き家対策など市政に対する思いをお伺いしました。

 

■ 「楽な一年ではなかった」──ここから始まった振り返り

 今回のゲストは、総社市長の片岡さん。
1959年、総社市生まれ。青山学院大学法学部を卒業後、橋本龍太郎事務所に入所し、内閣総理大臣公設第一秘書や大臣秘書官を歴任されました。2007年に総社市長に初当選し、現在は4期目。障がい者雇用の推進や子育て支援、地産地消の取り組みなど、総社を「住みやすいまち」にする政策に長年取り組まれています。

 そんな片岡市長に、まず伺ったのは、この1年の振り返りでした。
「正直、楽な1年ではなかったですね」──その言葉から、話は静かに始まります。日々の健康管理として続けているランニングは、気がつけば484日連続、累計1500km。体調や体型の変化以上に、「続けること」が自分を支えてくれたと感じているそうです。早朝のランニング中には、登校中の子どもたちから声を掛けられることも多く、そうした何気ない交流が日々の励みになっていると話してくださいました。

 さらに印象的だったのが、ランニング中に出会うワンちゃんたちの話。保護犬を含め、性格の異なる犬たちと“つかず離れず”の距離感で接することで、無理をしない関係づくりの大切さを学んでいるといいます。名前を呼ぶと駆け寄ってくる犬、そっと距離を保つ犬──そのやり取りが、市長にとって心を整える時間にもなっているそうです。

 話題は、部屋の片づけをきっかけに始めた断捨離へ。物を手放すことは、過去やプライドと向き合うことでもあると語り、秘書官時代に橋本龍太郎元総理から受け取ったスーツやコートなど、どうしても捨てられない思い出の品についても触れられました。落選や浪人時代の苦労を振り返りながら、「あの経験が今の自分をつくっている」と語る姿が印象に残ります。

■ 作山古墳の発掘が教えてくれた、歴史との向き合い方

 後半は、現在進められている作山古墳の発掘調査について伺いました。
調査は文化財としての保存を最優先に、学術的に非常に厳格な手順のもとで進められているそうです。目の前に興味深い遺構が見えていても、勝手に掘り進めることは許されない──その慎重さこそが、歴史を正しく未来へ残すために欠かせない姿勢だと語られました。

吉備王国の存在と、地域に眠る誇

 作山古墳は、吉備王国の存在を考えるうえで極めて重要な史跡でもあります。
市長は、古墳の規模や構造から見えてくる当時の権力や国の在り方に触れながら、「この地域が、いかに大きな役割を担っていたかを知ることが大切だ」と話してくださいました。歴史を掘り起こすことは、単なる過去の研究ではなく、今を生きる私たちのアイデンティティにつながるものだと感じました。

祖先を知ることが、まちの未来につながる

 話の中で繰り返し語られたのが、「先祖を知り、敬うこと」の大切さです。
自分たちが暮らす土地に、どんな人々が生き、どんな思いを積み重ねてきたのか。その歴史に目を向けることで、地域への誇りが生まれ、次の世代へ受け継いでいく力になる──そんなメッセージが、言葉の端々から伝わってきました。 

過去を糧に、新しい年へ

 番組の最後に市長が語ったのは、「過去にとらわれすぎない」ということ。
苦しかったことや失敗も含め、すべてを糧にしながら、新しい年を前向きに生きていこう──その言葉は、1年の締めくくりにふさわしい、静かで力強いメッセージでした。温かい余韻を残しながら、今回の放送は幕を閉じました。

放送を通じて

 ランニングや断捨離、ワンちゃんとの日常、そして作山古墳の話まで。一見すると異なる話題のようでいて、すべてに共通していたのは、「向き合い続ける姿勢」でした。続けること、距離を測ること、過去を受け止めること、歴史を敬うこと。片岡市長の言葉一つひとつから、肩書きの向こうにある“一人の人間としての在り方”を感じた時間でした。そして、来年に向けて……無理に何かを変えようとしなくてもいい。ただ、目の前のことに丁寧に向き合い、続けられることを続けていく。その積み重ねこそが、自分自身やまちの未来を、少しずつ形づくっていくのだと。

 時に冗談を交えながら語られる片岡市長の示唆に富んだお話は、後でじっくり噛み砕いてみると、とても深く、そして静かに心に残るものでした。日常の積み重ねや人との距離感、過去との向き合い方──その一つひとつが、これからを生きるヒントとして、今もじんわりと効いてきます。さて、来年も頑張りましょうかね!


――また次回の放送も、お楽しみに。