いのち輝くホスピタリティ -医療は究極のサービス業

著 者:望月 智行
出版社 ‏ : ‎ サンクチュアリ出版
発売日 ‏ : ‎ 2008/9/28

 『いのち輝くホスピタリティ 医療は究極のサービス業』を読んで感じたのは、この本が単なる医療経営の指南書にとどまらず、一般の企業経営にも十分応用できる内容を持った良書だということです。特に「ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし」という原則が本質的に解説されており、その考え方がしっかりと実践されている点が印象的でした。

 著者が経営する病院では、この理念を単なる理論にとどめず、実際の運営に取り入れています。それが病院全体に根付いているというのがすごいところです。経営者がぶれない信念を持ち、それを諦めずに実行し続ける姿勢は、どの業種のリーダーにとっても重要な学びではないでしょうか。

 また、この本を通じて感じたのは、経営の根幹にある「理念」と「風土づくり」の大切さです。システムや仕組みを整える前に、経営者自身がどれだけ揺るぎない信念を持ち、それを実現するための努力を続けられるか。この一見シンプルな問いかけが、実は経営全体を左右する力を持つのだと気づかされました。

 もちろん、言うのは簡単で、実際にやり続けることの難しさは計り知れません。しかし、やらなければ何も始まらない。この本は、その事実を改めて教えてくれると同時に、経営者としての背中を押してくれる一冊です。

医療という「究極のサービス業」において、どのようにホスピタリティを追求し、それを患者さんにもスタッフにも還元していくのか。その過程を通じて、経営の本質的な部分に触れることができました。これからの時代、どの業界でもこの「ホスピタリティ」の考え方が重要になると思います。

 「経営とは何か?」と改めて問い直したい方や、今の組織をもう一段高いレベルに引き上げたいと考えている方には、ぜひ一度手に取っていただきたい一冊です。