第107回 気まぐれ!メンズトークが放送されました!

 第107回目のゲストは、関西書芸院の事務局代表として、また書家としても活躍されている澤田千尋さんをお迎えしました。日本の「書」が持つ素晴らしさや、習い事としての書道の魅力、教育現場での取り組みについて熱い思いを語っていただきました。

 

■澤田千尋さんのプロフィール

 8月30日、岡山県都窪郡早島町生まれ、早島育ち。祖父は一般財団法人関西書芸院および関西書道専門学校を設立した書道家・澤田虚舟先生。書道の指導者を志し、高校卒業後は奈良教育大学・書道教育専修に進学しました。

 卒業後は学習塾の講師として子供たちへの指導や保護者対応を経験。その後、その経験を活かし、現在は書道教室の運営や保育園の書き方教室で指導にあたっています。また、「指導者を育て、書家を育てる」という関西書芸院の方針のもと、講師として活躍しながら、自身も爽風(そうふう)の雅号で書家として活動中です。

 

<関西書芸院と関西書道専門学校>

 関西書芸院は、競書雑誌『関西書芸』を刊行し、書を愛する人々や文化・教育に携わる方々へ作品発表の場を提供する文化研究機関です。その母体のもと、昭和52年に「関西書道専門学校」が開校しました。

・資格取得と展覧会
学校では「卒業制作展」「関西書芸院展」、選抜作家による「青藍展」など、作品を発表する場も豊富に用意されています。子供の教材「書芸」は指導者のみが購入可能で、質の高い指導環境を支えています。

・専門学校の特徴
修業期間は2年間、週5日(月~金)のカリキュラムで、通常の10年分の稽古に匹敵する内容を学ぶことができます。教師資格も取得可能で、卒業後は自宅で書道教室を開くことも可能です。

 

<書道教室と子どもたちへの取り組み>

 澤田さんは、書道の普及に向けて子供たちへの取り組みにも力を入れています。夏休みには約160人の子供たちが参加するワークショップを開催。宿題を見たり、指導者が丁寧に指導する場を設け、他の先生から学ぶことで子供たちにとって刺激となる機会を提供しています。

 書道は、音楽や絵画と違い分かりづらい芸術とも言われますが、生活の中で自然と触れてもらえたら良いと澤田さんは語ります。「やってみたら面白い」という一歩を踏み出すきっかけ作りが大切だと感じているそうです。

さらに、書道は発達障害や療育が必要な子供たちにも有用な学びの場となることがあります。子供の特性に合わせて個別指導ができるため、集中が難しい子でもそれぞれのペースで楽しむことが可能です。自己表現の手段として書道を活用することで、書くことの楽しさや達成感を感じてもらうことができます。

<書道を広めるネットワーク>

 関西書芸院は、現在120の支部(教室)を持ち、その多くは倉敷市を中心に岡山県全体、広島、香川、大阪、大分、岩手など全国に広がっています。卒業生が地元に戻って教室を開いたり、嫁ぎ先で指導を始めるケースも多いそうです。

書道教室は月謝5,000円程度で、週1回の指導が基本です。こうした取り組みが地域の子供たちや大人たちに、書道を身近なものとして広めるきっかけになっています。

 澤田千尋さんのお話から、日本の「書」が単なる習い事や芸術を超え、自己表現や教育の重要な手段としての可能性を感じました。特に子供たちへの丁寧な指導や、個々の特性に合わせた柔軟なアプローチは、書道の魅力をさらに広める力となっています。

 「生活の中に自然と書道が溶け込むことを願う」という澤田さんの言葉が印象的でした。習い事としての書道はもちろん、自己表現や心を整える手段として、これからも多くの人に広まってほしいと感じます。



次回の放送もお楽しみに!