第106回 気まぐれ!メンズトークが放送されました!
第106回目のゲストは、児島八十八ケ所霊場の「遍路石」に魅了され、書籍『児島八十八ケ所霊場 遍路石百選』(倉敷写真文庫 第1号)を出版された砂川恵輔さんと、その出版元である書肆亥工房の石井省三さんをお迎えしました。遍路石の魅力やお遍路の楽しみ方、出版に至るまでのエピソードについて語っていただきました。
■プロフィール
砂川恵輔さん
1949年(昭和24年)生まれ、尾道市出身。高校卒業後、鉄鋼機械の設計に携わり、40歳で設計事務所を立ち上げました。60歳で仕事を引退後、倉敷美観地区の観光ガイドを経て、児島や備中倉敷のお遍路巡りの魅力に引き込まれ、現在に至ります。
石井省三さん
1947年(昭和22年)生まれ、倉敷市出身。中学時代に東京へ転校し、その後、出版社に就職。40年以上編集の仕事に携わった後、岡山に戻り、出版事業を立ち上げます。62歳で独立し、書肆亥工房を設立。現在は「倉敷写真文庫」の編纂に力を注いでいます。
<お遍路石に魅了された理由>
元々、歩くことやお遍路が好きだった砂川さん。ある日、Facebookで児島八十八ケ所霊場巡りをしている人と出会ったことで火がつき、お遍路巡りに夢中になったそうです。
砂川さんが注目したのは、札所と札所をつなぐ「遍路石」。これはお遍路さんが迷わず巡礼できるように設けられた道標で、手の形や僧侶の姿など、形はさまざまです。しかし地図も不完全なものが多く、探し出すのは一筋縄ではいきません。
「昔の道路沿いに遍路石はあるはず」と、砂川さんは明治時代の「大日本帝国地図」を取り寄せて遍路石を探し歩きました。現代の道にはない畦道や峠越えの道を想像しながら歩くことも多く、草をかき分け、時には山道を進むことも。そうした「探す楽しさ」も、遍路石巡りの大きな魅力だと語ります。
<出版までの道のりと苦労>
『児島八十八ケ所霊場 遍路石百選』の出版に至るまでには、さまざまな苦労がありました。
道が塞がれて通れない場所や、イノシシ対策で柵が設けられた道など、辿り着けない遍路石も多くありました。特に「由加山の蓮台寺」(64番札所)は、蛇や虫が多く、道も不明瞭なため、現在も挑戦中だといいます。
そんな中、砂川さんは「遍路石は美術品ではなく、興味のない人にはただの石かもしれない。でも、昔の人の生活道路に残された貴重な道しるべだ」と話します。処分や移動をされてしまうことも多い中、残されているだけでも価値があると感じているそうです。
一方、石井さんも過去に児島八十八ケ所を巡った経験があり、砂川さんの話を聞いて「これは面白い」と共感。すぐに出版が決まり、書籍の完成へとつながりました。
<今後の夢と目標>
砂川さんは、今回の「百選」に留まらず、児島八十八ケ所霊場の370以上の遍路石を集大成としてまとめたいと語ります。また、個人的な目標としては「バタフライで200m泳げるようになりたい!」という健康面でのチャレンジも掲げていらっしゃいました。
石井さんは、倉敷写真文庫の第2弾として「倉敷昆虫館」、さらに第3弾として「河内八十八ヶ所散策」の出版を予定しているとのこと。地域の歴史や魅力を発信し続けるその姿勢には、倉敷への深い愛情を感じました。
砂川さんと石井さんのお話を伺い、お遍路石には歴史をつなぐ役割があることを改めて感じました。現代の私たちが見過ごしがちな「道しるべ」ですが、探し歩くことで昔の人々の暮らしや想いが見えてくるのが魅力ですね。また、出版に至るまでの熱意と行動力にも大変驚きました。
今後、370の遍路石の集大成が出版される日を楽しみにしています。そして、倉敷写真文庫の次回作も、地域の新たな魅力を発見できる素晴らしい一冊になるのではないでしょうか。
次回の放送もお楽しみに!