第117回 気まぐれ!メンズトークが放送されました!

 第117回目の放送では、地元倉敷で古民家リノベーションを手掛ける四季彩工務店の代表、尾上和英さんをお迎えしました。古民家の魅力やリノベーションのやりがい、そしてこだわりについて伺いました。


<古民家リノベーションの魅力>

 尾上さんが注力する「古民家リノベーション」とは、間取りや空間を現代の生活に合わせて作り替えるもの。一方で「古民家再生」は、間取りなどをそのまま残すことを指します。

 「倉敷は戦争の被害を受けていないため、古い家が良好な状態で多く残っています。それを壊さず活かし、再生して未来へ繋げていきたい。倉敷市も街並み保存に前向きで、会社の意向とも合致しているので、これからも積極的に発信していきたいですね。」

<代表的なプロジェクト>

 尾上さんが手掛けた中でも特に注目されるのが、倉敷市上富井にある築100年以上の古民家改修。全国的に有名な建築家・大堀伸さんとコラボし、建築コンペで世界一に輝いたプロジェクトです。

 「柱や土台がすべて腐っていたので、全面的に改修しました。新築よりも費用は抑えられますが、それでも2000〜2500万円ほどかかります。内容次第では、コストを大きく抑えることも可能です。」

<古民家リノベーションのこだわり>

 尾上さんは、古さを残しつつ構造や性能を向上させることにこだわります。

 「デザイン性を高めながらも、今の生活様式に合わせた間取りや動線をいかに表現するかが重要です。経験則が問われる仕事なので、柱を残すか取るか、補強の必要性などは瞬時に判断します。本や教科書では学べない、職人の感覚が大切なんです。」

 また、古民家に関する相談も増えており、「直すべきか、倒すべきか、住むべきか、貸すべきか」などの悩みについても、専門的な知識をもとにアドバイスしています。


<四季彩工務店の強み>

 四季彩工務店の強みは、内製化によるコスト削減です。

 「最近は工務店が減り、外注が増えていますが、私たちは自社の社員が施工できるところは自社で行います。中間マージンが発生しないため、コストを抑えつつ高品質な仕上がりを提供しています。」

しかし、古民家リノベーションは技術や知識が必要なため、建築士の力量が問われます。建築士に知識がない場合、大工任せになることも多く、結果的に現代の工法に偏ってしまうことも。

尾上さんは、耐震基準が現在と異なる昭和56年以前の建物についても、しっかりと対策を行いながら、地域の特性(例:海に近い場所のシロアリ被害)に合わせた施工を提案しています。

「お客様のご要望や費用対効果を見極めながら、最適なリノベーションを提案しています。」

 尾上さんの「古いものを活かし、未来へ繋げる」という想いが、古民家リノベーションの取り組みに反映されていると感じました。単に建物を直すのではなく、現代の生活スタイルに合わせた間取りやデザインを追求しつつ、古き良き価値を残していく。その姿勢には、職人としての技術力と感覚的な判断力が不可欠だと改めて実感しました。

 倉敷の街並みを守り、古民家の新たな魅力を引き出す尾上さんのリノベーション。これからも多くの人に古民家の素晴らしさを伝えてくれることでしょう。

次回の放送もどうぞお楽しみに!